2015-08-23

生き方と、今と、光① @ボストン


Leoです。

 お酒を飲みながら、親しい人と非日常の会話を楽しむ。普段じゃ絶対にしないような、濃くて、深くて、生々しい話。目をまっすぐに見て、自分と相手に正直になって。

 20歳になった時に父を誘い、地元の居酒屋で4時間くらい、いわゆる「サシ飲み」をしたことを、鮮明に覚えています。その非日常の会話は、言葉に出していなかった自分の考えと、言葉に出されなかった相手の考えを交換し、今までよりもずっと、なんとなく近しい関係にしてくれる、素晴らしい時間だと確信しています。

ボストンの街並み
古き良きの連続で、温かい街でした

 ボストンのとある夜。

 お酒は飲んでいませんでしたが、自分のベッドルームで、たわいもない話や、留学中のちょこっと真面目な話を、数人集まってつれづれに語らっていました。

 深夜0時を回ったころ。ほかのみんなは寝たり自室に帰ったりで、僕とTくんだけが静かで暗い部屋に残され、語らい(というか振り返れば僕のためのカウンセリングなのですが)はじめました。

 実は、その日の日中に、とあるベンチャーの創設者に、その人の提唱する生き方や起業そのものに関する講義を受けていました。そこで、「大きな白いキャンバスに、自分の思い描く理想の未来を描いてみなさい。そして、それを創るには、今どうしたらいいのか、光の方向を見定めなさい。」というようなことを言われました(原文ままではないです)。ここでいう白いキャンバスとは、比喩ではなく、物理的に白い紙にでもいいから、一枚の絵として理想の未来を描いてみ。という文脈でした。

 「そんな話があったけれど、君の絵は、いったいどんなものになるのか。」Tくんは尋ねました。「わかりにくくても、絵にならなくても、いいから、自分の言葉で説明してくれ。」

What is the future
that I am exactly longing for
deeply inside?


 僕は結局、何も書きませんでした。

 国際開発、環境共生という、興味のあるキーワードや、「新しい可能性の発見・育成」「背中で語る大きな男」という自分の軸は認識してはいたものの、なぜそれをめざしたいのか、それによって世界がどう変わっていくことを望んでいるのか、絵という至極具体的なイメージに落とし込むには、粒度が荒かったからです。そのかわり、自分について、わかっていること、経験してきたこと、考えたこと、考えられてないこと、迷い悩んでいること、すべてについて、話しました。

 すると、彼は、僕の意見を吸い取るように質問を重ね、カウンセラーのごとく、僕のワクワクの真の根源や、真に僕が創りたい未来を、彼の意見も差し込みつつ、見つけ出そうとしてくれました。

 これをこの記事に細かに書き出すと、それをドヤ顔で広めるエセ思想家のようで、すこぶる嫌なので、あえておおまかに書くことにします。

”力強さは、使命感を持つことから生まれる。”
松下幸之助

 とりあえず、国際開発という分野に、どうしてかかわっていきたいのか。

 もともとのワクワクは、途上国等、恵まれない地域の住人や子供たちに、可能性を与えること。というか、その可能性を発見して、育てていくことが楽しかったと認識していました。つまり、いくつもある社会問題に取り組んだり、解決を実感することで、可能性の広がりを感じ、それがワクワクにつながるのかな、と思っていました。

 「では、問題解決とは、何なのか?」彼は問いをつづけました。「全員を救うことができない場合、それは解決策があるといえるのだろうか?」

 世の中のすべての問題に対し、全員を救う最適解が用意されているほど、世の中はうまくできてはいなさそうということに気づきました。僕はじっくりと考え、「社会問題を解決した」というのは、助ける人と助けられる人が相互に納得する妥協点を作れた、と同義ではないか、という仮説にたどり着きます。すなわち、もしかしたら、少なくともどれかのステークホルダーにとってマイナスになるようにしか解決策を設定できない、もしくはそれをマイナスと思わせないと思い込ませるしかないように、世界はできているのかもしれない。そんな現実が見えてきたのです。どこを解決の基準にするのか。「社会貢献」とは、ただ、その「取り組みと、価値観の変化」の問題でしかないということです。

 「いままで、どんな瞬間にワクワクしてきたのか。」さらに自分の軸に迫る質問に答えさせようとします。

 目標を達成できたとき?…ちがう。僕はいつでも、自分の決めた目標を達成しようと努力して、達成が目の前にやっとあらわれた時には、喜ぶ暇なく次の目標に向かって走り出してきたことを知っている。
 だれかの役に立って、感謝されたとき?…これもちがう。役に立つのは好きだけれど、感謝されると、なんだかむずがゆくて、照れくさい。うれしくなくはないが、これはワクワクとは似て非なる。
 自分の考えが広まったり、誰かに影響を与えること?…これは少しある。同志や活動の対象、個人や組織や社会、どのような形であれ、人という相手に影響を与えるのは好きだ。それに、今まで影響を受けてきた先輩方や同期、後輩たちに、恩返しをする意味でも、人に影響を与え続けられる男でいたい。背中で語る大きな男とは、そういう文脈だ。


 そのような問答を繰り返し、胸のうちの金ピカに、アプローチできました。

 自分のやりたいことに集中的にのめりこみ、あっという間に過ぎゆく没入感。
 探検を通じて自分の視野が広がる爽快感。
 今の自分には少しだけ無理なことを達成したいと、試行錯誤して前に進む実感。
 そしてそれらを突き破って達成していく感覚。
 だけど、感謝されるのは苦手。


ようやく、手を伸ばすべき光の方向が、あらわになってきました。

しかし、国際開発という目線に戻って考え直してみると、ふと自分が悪い人に見えてきました。

…というところから、次記事で整理します。長くなってしまった。


お楽しみに。

Leo